新作ゲーム【トイザらス】

2010年9月8日水曜日

 大切な一夜をおくるシティホテル。演出に満ち溢れたラグジュアリーホテルが今や東京には居並び、これはという1軒を選ぶのに迷ってしまうほどだ。そのなかから自分たちに合いそうなホテルを見つけたとしても、今度はどのカテゴリーの客室が正解だろうかと、また悩むところ。  今をときめく外資系ホテルもいいけれど、例えば、別のこんな選択肢もある。この連載の第1回では味わいぶかい老舗の鮨屋をご紹介したが、今回はまさにそのホテル版ともいえる話。  お茶の水にたたずむ「山の上ホテル」。本館は昭和12年築という東京きってのクラシックホテルで、名だたる文人が原稿執筆のために好んで滞在していることでも知られている。  ただ単に山の上ホテルを、とお薦めするのではない。このホテル、知る人ぞ知る隠れた客室がひとつある。そこに、ふたりで泊まってみませんか、という提案だ。  フロント(というよりも『帳場』と表現したくなるような、こぢんまりとした渋いしつらい……)の正面に据え付けられたエレベータに乗ると、階数を示すボタンは「5階」まで。今回ご紹介したい客室は601号室、つまり5階より上に位置する。  どのようにして601号室にたどりつくか。エレベータを5階で降りると、その目の前に、人がすれ違えないほどの、ごくごく細い階段を見つけることができる。階段には深紅の絨毯が敷き詰められており、木枠に縁取られた昇り口には「Mozart」(モーツァルト)の飾り文字だけがある。曲がりくねった階段で、先は見えない――。  昇りきったところに待ち受けている木製のドアを開けると、山の上ホテルの屋根裏部屋が現れる。25平方メートルという小ぶりな客室は、英国製のアンティーク家具、モーツァルトの楽譜の原版複写、そして立派なオーディオセットで彩られており、好きな時間に思いのままに音楽を愉しんでくださいね、と語りかけられているかのような小空間に仕上がっている。ベッドは大ぶりなダブルサイズが1基。  外に出てホテルを見上げてみれば、この客室がどこに位置しているかがよくわかるだろう。天を突くように、建物の中央の辺りがひときわ高く築かれている。そこが601号室。  この部屋には最新鋭のホテルにみられるような気の効いた設備はそう望めないし、面積は先に触れたとおり、ごくごく小さなもの。そのかわり、風情がある。戦前から今にいたるまで丁寧に手を入れ続けてきたことが、客室のそこかしこからうかがえる。  きらびやかなホテルの客室も捨てがたい。しかしながら、おとなのカップルにはもしかすると、ここ601号室のようなひっそりとした1室こそ似つかわしいかもしれない、そう思わせる魅力がここにはある。何より、部屋までのアプローチがいい。肩肘張らない空気もいい。  このホテル、愉しみは尽きない。本館1階の「てんぷらと和食 山の上」のカウンターで夕食をとり(これは宿泊予約時、真っ先に押さえておくべき)、ペントハウスに戻ったところでお気に入りのCDを流しながらまどろむ。夜半に再び、階下に向かい、「バー・ノンノン」で軽くもう1杯を――都心にふたりこもる一夜。 TEL:03-3293-2311 東京都千代田区神田駿河台1-1 今回紹介した601号室のルームチャージは¥26,250(税込サ別) ■関連リンク■ ホテルの中国料理を極める 山の上ホテル CHINESE DINING 新北京 六本木の値段 てんぷら山の上Roppongiの海老天丼

 大切な一夜をおくるシティホテル。演出に満ち溢れたラグジュアリーホテルが今や東京には居並び、これはという1軒を選ぶのに迷ってしまうほどだ。そのなかから自分たちに合いそうなホテルを見つけたとしても、今度はどのカテゴリーの客室が正解だろうかと、また悩むところ。
 今をときめく外資系ホテルもいいけれど、例えば、別のこんな選択肢もある。この連載の第1回では味わいぶかい老舗の鮨屋をご紹介したが、今回はまさにそのホテル版ともいえる話。

 お茶の水にたたずむ「山の上ホテル」。本館は昭和12年築という東京きってのクラシックホテルで、名だたる文人が原稿執筆のために好んで滞在していることでも知られている。
 ただ単に山の上ホテルを、とお薦めするのではない。このホテル、知る人ぞ知る隠れた客室がひとつある。そこに、ふたりで泊まってみませんか、という提案だ。
 フロント(というよりも『帳場』と表現したくなるような、こぢんまりとした渋いしつらい……)の正面に据え付けられたエレベータに乗ると、階数を示すボタンは「5階」まで。今回ご紹介したい客室は601号室、つまり5階より上に位置する。
 どのようにして601号室にたどりつくか。エレベータを5階で降りると、その目の前に、人がすれ違えないほどの、ごくごく細い階段を見つけることができる。階段には深紅の絨毯が敷き詰められており、木枠に縁取られた昇り口には「Mozart」(モーツァルト)の飾り文字だけがある。曲がりくねった階段で、先は見えない――。

 昇りきったところに待ち受けている木製のドアを開けると、山の上ホテルの屋根裏部屋が現れる。25平方メートルという小ぶりな客室は、英国製のアンティーク家具、モーツァルトの楽譜の原版複写、そして立派なオーディオセットで彩られており、好きな時間に思いのままに音楽を愉しんでくださいね、と語りかけられているかのような小空間に仕上がっている。ベッドは大ぶりなダブルサイズが1基。
 外に出てホテルを見上げてみれば、この客室がどこに位置しているかがよくわかるだろう。天を突くように、建物の中央の辺りがひときわ高く築かれている。そこが601号室。

 この部屋には最新鋭のホテルにみられるような気の効いた設備はそう望めないし、面積は先に触れたとおり、ごくごく小さなもの。そのかわり、風情がある。戦前から今にいたるまで丁寧に手を入れ続けてきたことが、客室のそこかしこからうかがえる。
 きらびやかなホテルの客室も捨てがたい。しかしながら、おとなのカップルにはもしかすると、ここ601号室のようなひっそりとした1室こそ似つかわしいかもしれない、そう思わせる魅力がここにはある。何より、部屋までのアプローチがいい。肩肘張らない空気もいい。
 このホテル、愉しみは尽きない。本館1階の「てんぷらと和食 山の上」のカウンターで夕食をとり(これは宿泊予約時、真っ先に押さえておくべき)、ペントハウスに戻ったところでお気に入りのCDを流しながらまどろむ。夜半に再び、階下に向かい、「バー・ノンノン」で軽くもう1杯を――都心にふたりこもる一夜。

TEL:03-3293-2311
東京都千代田区神田駿河台1-1
今回紹介した601号室のルームチャージは¥26,250(税込サ別)
■関連リンク■
ホテルの中国料理を極める 山の上ホテル CHINESE DINING 新北京
六本木の値段 てんぷら山の上Roppongiの海老天丼

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